俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

「あのとき、桜が舞い散る古い日本家屋の前で若葉色の着物を着て佇む綾花が綺麗で、息が止まるかと思った」

　色っぽい視線で見つめられ心臓が飛び跳ねたけれど、私は必死に冷静な表情を保つ。

「あのときの貴士さんは余裕たっぷりで、動揺しているようには見えませんでしたよ」
「余裕なんてなかったよ。二年振りの再会なのに、綾花は俺の目の前でほかの男にプロポーズされていたし」

　ふっと綺麗な口角を持ち上げ微笑む。

　プロポーズ……？と考えて、斗真くんのことだと思い当たる。

「プロポーズって、小学生の生徒さんですよ」
「それでも、自分の婚約者が男に言い寄られていたら妬くだろ」

　和テーブルに頬杖をつきながらこちらを見つめ、目を細める貴士さん。

　こんなに魅力的な男の人が、私に独占欲を抱いて嫉妬してくれるなんて。
　冗談だとわかっていても、じわじわと体温が上がっていくのを感じた。