荒野を行くマーマン
早く縁を切りたいと思っていたんだ。

確かに佐々木さんの言う通り、とても嫌な女だったかもしれない。

内心では多大なる嫌悪感を抱きながらも、そんな相手にさえ嫌われるのが怖くて感情を無理矢理押し隠し、調子を合わせ、友達のふりをして来たってことだもんね。

全くする必要のない、無駄な努力を続けてしまった。

そんなに苦痛なら、どう思われたって構わないからとっとと離れておけばよかったのに。

岩見君も私に騙されて、絶対にお互い心が通い合う事はない、不毛な時間を過ごしてしまっていたという事だ。

それぞれの人生を大切にする為にも、今後はもう偽りの友情は終わりにしなければ。

そんな風にあれこれ思案しながら10階の女子ロッカールームに入り、身支度を整え、小銭入れやハンカチ等が入っているトートバッグを手に庶務課へと向かった。


「おはようございます」


挨拶しながらフロアに足を踏み入れると、すでに出勤している方々からポツポツと声が返ってくる。

遅刻スレスレになって焦りながら行動するのは嫌なので、毎朝15分前には自分のデスクに着いていられるように計算して家を出ていて、一番乗りの日もあったりするのだけれど、今日は佐々木さんに捕まってしまったので普段よりも若干室内の人工密度が高い。



「おはようございます天童さん」


自分のデスクにたどり着いたところで隣の席の魚住君が立ち上がりながらそう声を発した。
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