荒野を行くマーマン
「よ、お疲れ」

前もってリザーブされていた奥のテーブル席に通され、メニューを眺めていると、待ち合わせの相手が現れた。

「あ、お疲れさま」

「もうだいたい決まってるか?」

「うん」

「じゃ、メニューかして」

向かいの席に着いた彼は私からそれを受け取ると、しばし悩んだ後店員さんを呼び、私の希望も確認しつつオーダーを済ませた。

「例の奴、今日からお前のとこ行ったんだろ?」

店員さんが去るや否や対面の彼…岩見言君は質問を繰り出す。


「あ、うん」

「どうだ?使い物になりそうか?」

「…別にこれといって問題はないよ」

その大いに上からな表現に引っ掛かりを覚えつつもひとまず返答した。

「まだ業務のほんのさわりしか教えてないけど、パソコン操作は手慣れてるし言った事をすぐに理解してテキパキ動いてくれるし。すぐに戦力になるんじゃないのかな」

「いまどきパソコンを使えない若者なんかいる訳ないだろ」

岩見君は鼻で笑いながら続けた。

「普通に学校でやらされるし。特に大卒は就活とか卒論の時期にそのツールは必須だった筈だし。そんなのサラリーマンとしてクリアしてて当然の基準だよ。いくら何でもハードル下げ過ぎじゃねーの?」

「え。別にそんな事は…」

「なおかつパソコン「だけ」使えたって何の意味もねーしな。それを最大限に活かせる天性の地頭の良さとか、コミュニケーション能力とか、総合的な観点から判断しないと」
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