ByeBye
3
樹から彼女ができたという報告を受けたあの日から、3年の月日が経とうとしていた。
その間になにか変化が起きたかというと、全くと言っていいほど何もなく。有難いことに告白も何度かあったものの、私には、それらの好意はすべて断る以外の選択肢はなかった。もちろん、身体だけの関係になった人もいない。
今は地元の四年制大学に通っているけれど、大学に入ってから新しくできた友達には、私が誰とも付き合わないことを「可愛いのにもったいない」だとか、「彼氏いたら世界変わるよ?」だとか口々に言われている。
そうしてるうちに、3年。
けれど、私は知っている。「今は彼氏要らないかな」なんていうのはただの口実でしかなくて、あの日から胸の奥にしまいこんだ彼への想いを忘れたくなかっただけだということを。
毎日のようにあの夜のことを思い出す。
彼は今、何をしているんだろう。
あの夜、どうして抱かせてと言ったのか。
空白の時間があったからと言え、その中でこの謎が解けることはない。
私だけがずっと変われず、時間が止まったままだった。