(短編)初恋オムライス
お皿を運ぶだけで精一杯だったから、話しかけられると思っていなくて軽くパニックになってしまった。


するとそこにあっくんが、さりげなくフォローに入ってくれた。


お待たせしました。ジュースとお水とおしぼりです。デザートは食後にお持ちいたしますね。


「ありがとう」


彼にはさっきからこんな風に何度助けられていることか。


「ごめん、あっくん。ありがとう」


フロアの隅に移動してから彼にこっそりお礼を言った。


「いや、このくらい全然大丈夫だよ。ほら笑顔笑顔」


「う、うん」


「声もちゃんと出てるし、最初の時と比べたらだいぶよくなってきたよ」


「うん、でもまだ話しかけられるとパニックになっちゃって。スムーズにできないんだ」


「くるみちゃん、初めてなんだから気にしなくていいよ」
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