後輩くんはワンコ時々オオカミ


side 涼太


「古崎君?」


眞子先輩とのお昼休みを邪魔したのは
同じクラスの女子委員の秋山さん


聞けば、体育祭委員を先生が呼んでいるという


・・・お昼休みだぞ?

そんな時間帯に先生が呼び出すとは思えない


今かと聞けば、僅かに遅れた返事で
秋山さんの思惑が見えた


とりあえず秋山さんだけを行かせて
話が本当なら後で先生に詫びれば良いかと思ったのに


「涼太、急ぎみたいだから
行った方がいいよ」


眞子先輩は秋山さんの言葉を信じて俺を行かせようとしてくる


「え、でも・・・」


少しでも眞子先輩と一緒に居たいと渋る俺に


「お弁当も食べ終わったし
こうして探しに来てくれたんだもん
急ぎだと思うよ?」


だめ押しされた

どこまで眞子先輩はお人好しなんだろう
全然秋山さんのことを疑っていない


「眞子先輩がそう言うなら」


結局、渋々でも折れた俺は
何度も眞子先輩に「ごめんなさい」を言うと


秋山さんと校舎へと向かった


「ハァ」


ため息しか出ない

呼びに来てくれた秋山さんに失礼だろうって?

そんな訳ない

だって


チラッと見下ろした秋山さんは
何故かクスクス笑っている


「で?お昼休みの邪魔までして
一体なんの用事?」


低い声を出せば
僅かに肩を揺らした秋山さんは

居直ったみたいに俺を見上げた



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