後輩くんはワンコ時々オオカミ


「だって古崎君、私が誘っても噴水ベンチには行ってくれないのに
あの人とは良いなんて許せない」


「は?」


なんだコイツ

呆れる俺の態度なんて見えてないみたいに


「古崎君って、背が高くて
バスケット選手って感じだよね」

「髪型も似合ってて素敵」

「同じ実行委員として協力して頑張ろうね」


一方的に喋り続ける


「ハァ」


教室まで戻ると案の定、先生なんて居なくて

勿論、職員室へ呼ばれた訳でもない


「先生は?」


聞くだけ無駄な時間だろうけど
眞子先輩との時間を割いてまで戻ったからには聞く必要がある


フッと笑った秋山さんは


「あれ〜?先生どこに行ったんだろ〜」


首を傾げながら上目遣いで俺を見てくる

・・・気持ち悪っ

苛々して声を上げようとしたタイミングで


「涼太、昼休みまだあるのに
眞子先輩い〜のかよ?」


同じバスケ部の高橋新太《たかはしあらた》が俺に気付いて話しかけてきた

新太の声が大きいからクラス中の視線を集めることになって

それを見ながらふと閃いた


「良くねーよ!
一緒に居たのに、そこに秋山さんがやって来て
『先生が呼んでる』って連れ出されたんだ」


いつもより大きな声で返事をすれば
クラスの女子達がヒソヒソと話し始める


「え?マジ?秋山さんそれ嘘だろ
担任って今日午後から出張だったじゃん」


・・・あ、そうだった
ウッカリ忘れていたけど
今朝聞いた気がする

騒ぎで注目を浴びた秋山さんは
顔を真っ赤にして新太を睨みつけると教室を飛び出して行った








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