後輩くんはワンコ時々オオカミ


「で?どうしたのよ、女でも現れたの?」


「・・・ん」


見ていた訳じゃないのに
なんで知夏は言いたいことが分かるんだろう


「そうなの?」


「うん・・・・・・
同じクラスの体育祭委員の子が先生が呼んでるからって呼びに来たの」


「へぇ、それで?」


「急いでるみたいだから行った方がいいよって涼太を行かせたんだけど」


「モヤモヤしたと?」


知夏さん!何故わかる!


「結局私も一人で座ってるのも変で
此処に戻ってきたんだけど
先を歩く二人が目に入っちゃって」


「胸が騒ついたと?」


知夏は私の代弁者のように
私の気持ちをズバリ言い当てた


「実はさ、バスケで小耳に挟んだんだけどね
涼太、凄くモテるらしいよ?
女バスも狙ってる子沢山いるし
放課後の練習なんて体育館の外から
黄色い声援が煩いのなんのって」


「・・・そうなの?」


「だって背は高いし、イケメンだし
穏やかで爽やかなワンコなのよ?
モテる要素しかないじゃない」


「・・・そっか」


「ウカウカしてたら持っていかれるよ?」


「え」


「例えばよ、例えば!
そんな長いこと待たせてたら
いくら眞子が好きって言ったって
周りの女の子達に絆されないとも限らないじゃない?」


「そんな」


「だからよ!ちゃんと涼太とのことを考えて早めに返事してあげたら?
じゃないと涼太だって次にも行けないし
断る口実もできない
宙ぶらりんが一番だめなんだよ?」


「・・・わかった」








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