後輩くんはワンコ時々オオカミ
好きの意味


ポケットの中の携帯が震えて
取り出してみると涼太からのメッセージだった


【眞子先輩、さっきはごめんなさい】


え?なんで謝るの?
先生から呼び出されただけなのに

耳が垂れた涼太を思い浮かべて
頭を撫でられないのがもどかしい


【全然平気。委員は忙しいもんね】


【大したことありませんでした
帰りも迎えに行きますから
絶対待っていてくださいね】

一年生の実行委員は
補助要員ばかりで当日補佐に就くことが多いから平日作業もない

本当はバスケもしたいんだろうな〜って思いながら


【うん、待ってる】


そう返事をすれば
ハートを持った可愛い犬のスタンプが押された


・・・可愛い


それを眺めていると


「眞子、顔っ!」


前の席から知夏が頬を指で突いた


「え?」


「緩み過ぎよ〜ニヤニヤしちゃって」


「へ?」


ニヤニヤしてるなんて・・・
両手で頬を包む


「アンタ、わかりやす過ぎ
もう「好き」って言いなよ」


クスクス笑う知夏


涼太からメッセージが届くまで
暗い表情と騒つく胸を指摘されていたのに

もう気分は浮上していて

これが『好き』ということなんだろうか?

答えのない自分の思いと
向き合うように


携帯で『好き』を検索してみた



[好き]
1心が惹きつけられること。
2気持ちにぴったり合うさま。
3嫌いの反対




少なくとも“嫌い”ではないけれど


辞書に答えは書いていないようだ













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