後輩くんはワンコ時々オオカミ


ストンと隣に座った新太は
少し身体を捻ってこちらを向いた


「眞子先輩、いつから縮んだんっすか」


ククと喉を鳴らして笑う様子に
頬を膨らませて睨んでみるけれど

全然効いてないみたい

それに・・・


「眞子先輩、可愛い」


揶揄うような言葉を発した割に
さっきまでの笑い顔が消えて

急に不安感が広がる

スッと細められた瞳がこちらを射抜いて
視線を離せないままの私に
涼太の人差し指が膨らんだ頬に触れた


「眞子先輩はやっぱり可愛い」


指の先端しか触れていないのに
頬はそこだけ熱を帯びて


膨らませていた頬は
その指で潰されてしまった


なにか言わなきゃと思うのに
唇は開いてはくれなくて


その代わりに


頬に触れていた新太の指が
私の唇を塞いだ



「・・・っ」



不意打ちのそれに
マックスで打ち始めた鼓動は強さを増し

急速に息苦しさも連れてくる


「眞子先輩、大丈夫ですか?」



いやいやいやいや・・・
全然大丈夫じゃないからっ


涼太と似ていると思った自分を
呪ってやりたいほど


新太は色気だだ漏れの表情をした


絡まったままの視線は
簡単には外せそうもないほど囚われていて


唇に触れたままの指と
熱っぽい視線から逃れようと


背中を反らしてみれば


「・・・っ、危ない!」


新太は唇に触れる指はそのまま
反対の手を私の後頭部に伸ばしてそれを阻止した



「・・・っ」






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