後輩くんはワンコ時々オオカミ


「好き」


小さく呟いてみれば
私を抱きしめている涼太が僅かに反応した


「好き」


「・・・っ」


「眞子先輩って懐いてくれる涼太も
さっきみたいに“眞子”って呼ぶ
カッコいい涼太も
全部好き・・・大好き」



『・・・好きなんだと思う』なんて
曖昧なことしか言えていなかったから


言葉にするには勇気がいった


でも・・・


ちゃんと涼太のことを好きだよって
声に出して言わなきゃ


そんな想いが膨らんだところで
身体がフワリと浮かんだ


「キャッ」


開けた視界が捉えたのは
間近に見える涼太の顔と天井で


・・・お姫様抱っこ?


憧れの体勢に胸がキュンとしたのも僅かで

射抜くような視線を向けている涼太の瞳に囚われた所為で

一瞬で顔に熱が集まった


「・・・おろ、して?」


「無理」


「・・・・・・え」


絡んだままの視線はそのままに
涼太は私を抱き上げたままソファへと腰を下ろした


「顔、真っ赤」

そう言ってククと喉を鳴らした涼太は
笑っているのに瞳はハンターのようで視線が離せない


涼太の右掌が私の左頬に触れ
そのまま顎へと動く

その熱でさっきまでの気持ち悪さが
浄化されていく

その手を追うように動いていた涼太の視線が上がるともう一度絡む


「・・・っ」


間近で微笑む涼太の顔が
もっと近づいて・・・

温かな感触が唇を塞いだ



「・・・っ」












それが・・・
キスされていると頭が理解した時には

唇は離された後で


瞬きを忘れた私に
少し口角を上げた涼太は




「俺も大好きだよ・・・眞子」




とびきり甘く低く呟いて


また、唇を重ねた







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