エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「でも、悪くなかっただろう?」

強かな笑みを浮かべて、私の腰に手を回し引き寄せる。

目の前に彼の顔が迫り、凍りついた。どうしても、今しがたもらった彼からの情熱的なキスのことを思い返してしまう。

「俺とのキスは気持ちがよかった。違うか?」

唇を指先で撫でられて、大袈裟なくらいびくんと震え上がる。

「そっ、そんなわけありません!」

否定はしたものの、こんなに慌てふためいていたら信憑性など皆無。

彼はプッと吹き出して、まるで昔を懐かしむように、私の頭をひと撫でする。

「そうやってすぐムキになって、顔を真っ赤にするところは、変わっていないな」

慈愛に満ちた顔でそんなことを言う。

おかしい。透佳くんは、こんな顔をするような人じゃなかった。

もっと非道で、冷血無比だったはずだ。

私の知らない彼がいる。彼は透佳くんであって、透佳くんじゃない。

私の知る彼でないのなら……目の前にいるこの男性は……どんな人なの?

そんなわけのわからない自問自答が始まってしまう。
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