エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
カッと頬が熱くなる。今まで『チビ』とか『ガキ』とかさんざんバカにしてきたくせに、急に大人扱いするだなんて。

これが本当に、私の知っている透佳くんなのだろうか。

今日の彼は、何かがおかしい。

「急に……なんなんですかっ、こんなことして……!」

彼に食まれた唇が熱をもっている。手で口元を隠すように押さえると。

「許せよ。彩葉があまりに美しく育っていたから、食べてみたくなったんだ」

「へっ!?」

唐突に『美しい』だなんて言われて、いっそう頬が熱くなった。

私をからかうことしかしなかったあの透佳くんが、まさかお世辞を言うだなんて。

会わなかった十数年の間に、一体どんな心変わりがあったというのか。

照れすぎて頭から蒸気を吹き出しかけている私へ、彼はさらにたたみかける。

「ついでに、俺との結婚が嫌だなんて生意気言うから、二度とそんな口が利けないように躾てしまおうかと思って」

「し、躾って――」

なんて物騒な単語を使うのだろう。彼が言うとシャレにならない。

けれど、どうやら一応冗談だったようで「言葉のあやだ」と喉の奥でくつくつと笑った。
< 21 / 259 >

この作品をシェア

pagetop