エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
透佳くんのお父さまがハハハと軽快に笑った。

「留学中、久々に連絡をよこしてきたかと思えば『振り袖の店を教えてくれ』だもんなぁ。驚いたよ。ひまわりの柄、探すの大変だったんだろう?」

「なんとかひまわりの反物を見つけてもらって、仕立てることができました。作るのに一年近くかかってしまいましたが、間に合ってよかった」

周囲が談笑する中、私は引きつった笑みで応える。そんな話、初耳だったから。

この振り袖を作ってくれたのは、透佳くんなの……?

確かにあの時、父の会社はひどく不景気で、振り袖を買うお金の余裕なんてなかったのは確かだ。

なにしろ、高校を卒業してすぐに就職すると申し出たくらいだ。少しでも両親の負担を減らしてあげたくて。

結局、短大くらいは出てほしいと止められてしまったけれど。

振り袖を母にねだることはしなかった。困らせたくなかったし、諦めていたのだ。

だから、母がこっそりと用意してくれていたと知って、涙が出るほど嬉しかった。

それも、私の大好きなひまわり柄。
< 28 / 259 >

この作品をシェア

pagetop