エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
そんなことをするのも『結婚するから』?

『好き』とか『愛している』とか、そういう理由ではなく、ただ婚約という事実があるから、機械的にそうしているだけ?

わずかに胸が疼く。ほんの少しでも、私に好意を持ってくれているのではと期待してしまう自分が虚しい。

「大人になっても、変わらずひまわりは好きです。嬉しいですよ」

たとえこれが『好意』ではなく『義務』だったとしても、少なからず、私のことを思って選んでくれたことには違いない。

振り袖だって、私のために、必死に探してくれたのだと言っていた。

「……でも、どうしてですか? 私にひまわりは似合わないと言っていたのに」

「そんなこと言ったか? 気のせいだろう。似合わないものを贈ったりしない」

もしかして、私に『似合わない』と言ったことを忘れているのだろうか? 確かに、私がまだ幼稚園で、彼が小学校だった頃の話だから、忘れていても不思議ではないのだけれど。

「もしかして、小さい頃、しょっちゅう私をからかっていたこと、忘れてます?」

「ん? そうだったか?」

やっぱりだ……。どうやら加害者側は記憶に残らないらしい。私にとっては結構なトラウマだったのだが。
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