エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
向かい合って席について、私たちはいただきますと手を合わせた。

「夕ご飯、作ってくれてありがとうございます。次は私が――」

「お前はしばらく静養だ。夕食は当分の間、デリバリーか外食にする」

言いくるめられ、口を閉じる。

まぁ、それでなくても、平日はだいたい仕事で終電帰りだし、生活のリズムの合わない日々が続きそうだ。

レモン炭酸水で喉を潤した後、彼お手製のパスタをフォークに巻きつけ口に運ぶ。

トマトがさっぱりしていてとても美味しい。バジルがいいアクセントになっている。

「とても美味しいですよ」

「少しガーリックが効きすぎかな? 控えたんだが」

「大丈夫ですよ。気になりません」

パスタを食べながら不思議な気分になる。彼と過ごす時間が、すごくしっくりきている気がして。

少し前まで、彼のことは苦手だったし、婚約なんて考えられなかった。

ふたりで過ごす時間は、きっと苦痛に満ちていて、地獄のような日々になるんじゃないかと怯えていた。
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