みずあめびより
───他のお店でまだ飲んでるのかな?それとも道とか公園とかで倒れているかもしれない・・・。

まだ営業している居酒屋やバーもいくつかあり、その前まで行くが中まで入っていく勇気はなかった。

合間に電話をかけながら、コンビニや路地、公園を探したり、先程の営業中のお店の前にもう一度行ってみたりする。

あっという間に1時間が経っていた。

───三坂さんの会社の近くで飲んだのかもしれない・・・。でもそっちまで行くのは・・・もし具合が悪いんじゃなかったら私ってすごいうっとおしいよね・・・。

立ち止まってモヤモヤ考えていると二人組の男に声をかけられる。

「ねー、こんな時間にそんな格好で何やってんの?」

「暇なら俺達と飲もうよ。おごるから。」

「いえ、私探してて・・・。」

小さな声で答えると男達は眉を潜める。

「なに?猫とか?」

「んなの明るくなってからでいんじゃねーの?俺達は猫と違って暗いとこだとよく見えねーんだし。」

「そうだよ。こんな暗い中女一人でうろうろしてんの危ねーだろ。明るくなるまで時間潰すの付き合ってやるよ。」

男の一人が肩に手を置いて来た瞬間、衣緒は叫んだ。

「・・・あー!!!居た!!!」
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