みずあめびより
「・・・ティッシュ・・・。」

衣緒は自分のリュックをごそごそし始めた。

「あるよ。」

鈴太郎は北欧系の柄のカバーがかけられたティッシュを差し出した。

「ありがとうございます。でも、持ってるので大丈夫です。」

「使えって。仕事のことも今日のこともそうだけど、もっと人を頼れって。彩木さんのこと迷惑なんて思ったことないよ。いてくれていつも助かってる。」

───今日だって楽しいし。

「・・・。」

その言葉を受け取った彼女の目に新たな涙が浮かんできた。

「!?」

───なんか俺、慰めようとすればする程泣かしてる気がする。抱きしめたい衝動に駆られてるけど・・・まずいよな・・・。コンプライアンスがどうとかじゃなくて、彼女の気持ちを考えると・・・。自分を泣かした上司に抱きしめられるなんて。

「あの、私、泣いてますけど、嬉しくて泣いてるので・・・。」

「え、そうなのか?」

───俺に責められたからじゃないんだ。じゃ、抱きしめても・・・?いや、だめだろ・・・。

「その、何とか落ち着くようにするので・・・。」

そう言いつつも涙は湧き水のように止めどなく流れている。
< 27 / 253 >

この作品をシェア

pagetop