最後の夜
私はいつもそうだ…創祐に怒られて身構える。

「しっかりしろよ、愛!」

肩を掴まれて驚いて、咄嗟に目を閉じた。

「泣くな」

急に優しい声に戻った。

「向こうを泣かせるいい女になればいい。俺が助ける。愛なら大丈夫だから」

聞いた事のないような声だった。

「ありがとう…」

もう泣くしかない。

創祐の前で女泣きした。

私は女で、一人のつまらない男と結婚して離婚して、引きずりまくって裏切られた。

たったそれだけのつまらない現実を洗い流す、女泣きだった。
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