最後の夜
酔っ払いの私は気分上々で、鼻歌をうたいながら歩道を歩いていた。

雪はいつの間にか止んでいて、街は白銀の世界だった。

「姉ちゃん何やってんの!?」

その声に振り返ると、見知らぬ男に取り囲まれた。

「危ないよ?可愛い子の独り歩きは。」

私の嫌いなタイプ、ストライクだった。

「っさいよ…どいて」
「送ったけるじゃん」
「うるせえってんだろ!道あけろや!」

シラフだったら逃げ切れたのか。

前に立っていた男の肩を突き飛ばすも、酒がまわっている状態の私の腕には力が入らず、軽く掠めただけだった。

「えらそ-な事、言ってんじゃねえぞ?」

誰が言ったのか分からないけれど、その声が聞こえた時には遅かった。
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