最後の夜
そして、ぼろ布のように置き去りにされた。

涙も出ない、声も出ない。

当然体も動かなくて、私は裸に近い状態で道端に座り込んでいた。

プライドはずたずただった。

悔しくて悔しくて、体が震えてくる。

このままここで凍死したほうがいいと思った。

どこの誰かも知らない男に犯られて、捨てられている自分が情けなくて、生きて行けない。

助けを呼ぶ事も、警察へ出向く事もしたくない…家にも帰りたくない。

人目につかない電柱の影に小さくうずくまる。

寒くて、意識が朦朧とする。

「いいかんじじゃん…」

独り言を呟いて目を閉じた。
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