【女の事件】とし子の悲劇・4~遺恨の破砕波(おおつなみ)
第12話
8月15日のことであった。

アイツは、拘置所内に留置されていた。

しかし、精神鑑定の先生の予定が取れなかったので簡易鑑定で間に合わせた。

その結果、心神喪失と診断されたので病院に措置入院となった。

アイツの姉は、病院よりもうちにいさせてほしいとケーサツにコンガンした。

ケーサツは、アイツの姉の気持ちをくみ取って家に帰したが、大まちがいであった。

その日の夜、新たな悲劇が発生した。

かずひこは、兄が心神喪失で不起訴になったことに腹を立てて、刃渡りの鋭いナイフをふりまわしてイカクした。

事件が発生したのは、日付が変わって8月16日の深夜1時頃であった。

「オラ!!きよひこ!!」
「助けてくれ!!助けてくれ!!」
「ふざけんなよ虫ケラ野郎!!法が罰しないのであれば、オレが罰してやる!!」
「助けてくれ!!ワーッ!!」

かずひこは、刃渡りの鋭いナイフでアイツを刺し殺した。

この時、アイツの父と姉が騒ぎを聞いて現場にやって来た。

かずひこは『きよひこがナイフを振り回してきた!!オレは正当防衛で反撃した…そしたら…』と言うて、オイオイ泣いた。

アイツの父と姉は、こう言うた。

「いいんだよ…かずひこは正当防衛で守るためにやむなくナイフできよひこを刺したのだ…」
「お父さん…早くケーサツに知らせないと…」
「ケーサツに言うな!!きよひこは、ワシの子じゃないのだよ…弟が亡くなった妻に甘えた結果できてしまった子なんだよ…」
「お父さん…きよひこがおじの甘えが原因で生まれた子だから始末をすると言うことなの!?」
「大きい声を出すな!!ワシの言う通りにしろ…」

それから2時間後のことであった。

アイツの父と姉とかずひこは、相模川の上流まで行った。

ところ変わって、相模川の上流にて…

奥の方で、アイツの姉とかずひこがしくしく泣いている声と同時に、たき火が燃える音が聞こえていた。

「きよひこ…ごめんね…さよこが赤ちゃん産むから…さよこの赤ちゃんに生まれ変わって来てね…」
「兄さんごめん…兄さんごめん…」

アイツの父と姉とかずひこは、アイツが心神喪失状態で不起訴になって、家に帰ってこられたら困るから、家族はアイツを始末した。

それから7時間後のことであった。

アイツの父と姉とかずひこは、さよこが起きてくる前に家に帰って、いつも通りの暮らしを送っていた。

しかし、新たな事件が家庭内で発生した。

新たな事件は、アイツの姉が洗濯している時に発生した。

アイツの姉は、さよこの洗濯物が入っているかごから洗濯物を洗濯機に入れていた。

その時に、金具が大きく破損しているラベンダー色のブラジャーを見つけたので、ビックリした。

そんな時、白のブラウス1枚の姿のさよこが眠い表情で降りてきた。

アイツの姉は、さよこに詰め寄ってちぎられたブラジャーのことを問い詰めた。

「さよこ!!」
「なーにーよぉ…アタシ眠いのよ…」
「眠いのよじゃないでしょ!!さよこ!!これは一体なんなのかしら!?」

さよこは、かずひこにレイプされたことを思い出したので、大パニックを起こした。

アイツの父親は、かずひこがさよこをクロロホルムで気絶させてレイプしたことを聞いて、怒り心頭になったので、かずひこを警察署へ引っぱって行った。

ところ変わって、警察署の取調室にて…

刑事たちからの取り調べに対して、かずひこは『さよこをクロロホルムで気絶させてレイプしたことは全然知らない!!オレは無実なんだ!!』と泣き叫んだ。

しかし、さよこは『かずひこの部屋に、スタンガンやナイフなどがあった…クロロホルムみたいな液体もあった…』と泣きながら婦警さんに説明した。

ケーサツが調べた結果、かずひこがさよこを犯したコンキョが見つかった。

かずひこは、婦女暴行罪でケーサツに逮捕された。

かずひこが逮捕された直後、アイツの姉は父親に対して『かずひこを家の戸籍から外せ!!』と凄んできた。

アイツの父親は、泣く泣くかずひことアイツを家の戸籍から外した。

そして8月20日に、さよこはお見合い相手の男性との挙式披露宴が8月23日に鶴岡八幡宮の近くのホテルで挙げることが決まっていたので、アイツの姉夫婦は準備を急ピッチで進めた。

アイツの父親の遺言書を新たに作り直して、さよこのムコに全財産を行き渡るようにして先回りした。

8月22日に、すべて完了した。

これでめでたしめでたし…

…と言いたいところであるけど、翌日に新たな事件が発生した。
< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop