最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
気づけば、工藤様の唇が私の口元にゆっくりと近づいていた。


あと、10cm……


あと、5cm……


ずっと目を開けたままの工藤様。


このままじゃ、私、工藤様と……


ダメ! 考えなきゃ、ちゃんと考えて行動しなきゃ。


そうだよ、とにかくこの場を離れないと!!


でも、どうして?


頭ではそう思うのにやっぱり体が動かない。


もう……ダメだ。


「ピンポン」


その時、ちょうど部屋のチャイムが鳴った。


私はその音に我に返って、一瞬にして現実世界に引き戻された。


「誰だ……」


小さく吐き捨てるように言って、工藤様はドアの前に立った。


「……はい」


「工藤様。何かお困りでしょうか? 大丈夫でしょうか?」


その声は、茅野君!?


少し時間が経ってしまったから、心配してきてくれたのかも知れない。


「松下さん、大丈夫ですか?」


工藤様の後ろに呆然としながら立っている私を見て、茅野君が言った。
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