バイオレット・ダークルーラー



――…支配人が亡くなったあと、今までの当たり前が根本的に変えられた。


織原さんや木島市長、そして藤宮警視総監が全面バックアップと連携をとり、街の財政や安全を一手に引き受けたという。

報道でも当たり前のように取り扱われるようになり、街の再開発の話も出始めた。

支配人が街に現れた時と、緊急事態にのみ使用されるという不気味な赤い灯火も撤去された。


そのほか、未成年と成人の完全な区分けをやめた。自己責任でどんな時間帯でも楽しめるようにと。

…きっと大勢がこの街を出ると予想されていたけれど、そんなこともない。大体の人が変わらず麗蘭街で生き、生活しているのだった。



少しずつ、少しずつ

街が変わり始めていることを、わたしも彼らも実感している。



「未成年に対する夜中の見回りは続いてるんでしょう?ちゃんと帰りなさいって意味で」

「そうそう。…昔から百鬼夜行って言われてるんだよネ、別に妖怪じゃないのに」

「ふふっ」


「真柊、朱里」

< 297 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop