バイオレット・ダークルーラー
その時、奥のほうから音がして
紫月さんをさがすわたしは何も考えず早歩きで向かう。
わたしが踏み出した一歩と、静かにドアを開けた紫月さんの一歩が重なってぶつかった。
「…!」
ぶつかったのは、上半身が裸でスウェットのズボンを穿いた身体。
綺麗に割れた腹筋と厚い胸板が視界いっぱいに広がる。そしてしたたる滴とタオルから浴室に居たのだと悟って、わたしはそのまま顔を上げた。
「あっごめんなさい紫月さ………、
――…え、っ…?」
――…そして、慄いた。
「あーあ、見つかっちゃった」
彼の
左目が
「…すみれ、色…?」
…間違えるはずのないその色が、確かにわたしを見下ろしていた――…。