イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
一人ポツンと残された、校舎裏。
今にも雨が降ってきそうな灰色の雲で覆われた空は、まるで自分の心を表しているみたい、と思った。
サァーっと風が吹いて、私の髪の毛を攫っていく。
湿ったようなその風は、べっとりと私の身体にまとわりついて不快感を与える。
天気と気持ちがリンクするみたいに、どんよりしている心の中。
……梅雨って、ほんと苦手だなぁ…
普段なら考えなくてもいいようなことを考えて、自分自身で落ち込んでいくような感覚が、私を苛立たせる。
(……向葵くん、どこ行ったんだろう。)
“少し待ってて”ってどのくらいなのかな。
向葵くんがいなくなってから五分は経っている気がするけど、全然帰って来る気配がない。
……それに、このまま待っていても帰って来るかどうかも…。
あの子とそのまま帰っちゃうかもしれないよね。
それは、嫌だなぁ…