イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


一人ポツンと残された、校舎裏。

今にも雨が降ってきそうな灰色の雲で覆われた空は、まるで自分の心を表しているみたい、と思った。

サァーっと風が吹いて、私の髪の毛を攫っていく。

湿ったようなその風は、べっとりと私の身体にまとわりついて不快感を与える。

天気と気持ちがリンクするみたいに、どんよりしている心の中。

……梅雨って、ほんと苦手だなぁ…

普段なら考えなくてもいいようなことを考えて、自分自身で落ち込んでいくような感覚が、私を苛立たせる。

(……向葵くん、どこ行ったんだろう。)

“少し待ってて”ってどのくらいなのかな。

向葵くんがいなくなってから五分は経っている気がするけど、全然帰って来る気配がない。

……それに、このまま待っていても帰って来るかどうかも…。

あの子とそのまま帰っちゃうかもしれないよね。

それは、嫌だなぁ…

< 231 / 335 >

この作品をシェア

pagetop