イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
……じゃあ、もう私とお試しで付き合う必要はないってことだよね?
好きな子ができた、ってことは「好き」も「恋」も分かったってこと……
……そっか、そうだよね。
初めから私なんて相手にされるはずなかったんだもんね。
(……もう、帰ろう。)
茂みから立ち上がった私は、全速力で走って、向葵くんたちがいるところを横切ろうとした──
「──…結衣ちゃん!?」
向葵くんの驚いた声が聞こえたかと思えば、パシッと腕を掴まれて、一気にスピードが落ちた私はその場に立ち止まる。
その行動を見て「えっ?」と女の子は、声をあげた。
……ど、どうしよう。
「結衣ちゃん、どこ行くの?」
そう言ったあと、掴まれている腕にぎゅっと力が入る。
まるで、“逃がさない”と言われてるみたい。
振り向くことなく俯いたままの私を不思議に思い、再度、向葵くんが私の名前を呼ぶ。