イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


「………好きな子、できたんだ。」


向葵くんの声がした。

静寂するまわり。一変する空気。


私は向葵くんの言葉に驚いて、目を開けた。

そこに広がっていた光景は「……え?」と小さく驚いた女の子が、よろけて数歩後ろへ下がる。


「……好きな子……?」


女の子が問いかけて、それに「…うん。」と向葵くんが頷く。


(……向葵くん、好きな子できたんだ。)

ズキッ──…

………また、この痛み。

どうしてこんなに痛いんだろう。

何かの病気? それとも何かの前触れ?


「だから野原さんの気持ちに答えてあげることができないんだ。ごめん」

元気のない声でポツリと呟いた向葵くん。


……向葵くん、好きな子いたんだ。

そうなんだ……
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