イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


五限目に入った途端、生憎の雨になり、それからずっと放課後まで降り続いていた。


「今日もまた雨になっちゃったね」


窓から外を眺める向葵くんは、少しだけ眉を下げて残念そうな顔で微笑んだ。

最近、雨のせいで校舎裏へ行けてない私たちは、今、向葵くんの教室にいる。

付き合って一日目。

恋人になって初めての放課後。

ドキドキと不安が混在する胸の内。

恋人になったことを意識しすぎて、今まで通りにできずにいた私。


「結衣ちゃん元気ない?」


声が近くから聞こえてきて、少し顔をあげると、向葵くんの顔が近くにあった。


ドキっ──…

えっ……

驚いて、ガタッと机を揺らす。

その距離に胸がドキッと弾けた。


私は、唇を噛みしめながら、ぎゅっとスカートの裾を掴む。

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