イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
小さな声で呟いたそれを聞いたあと「…よかった」と自分の席に座った向葵くん。
「俺、結衣ちゃんに嫌われたかと思って焦った…」
えっ……
嫌うだなんてそんなことあるはずないのに。
「私、向葵くんがそばにいると…ドキドキしちゃうみたいなの…」
「え?そばにいると?」
「うん。ほ、ほら、私って初めて付き合った人が向葵くんだから…その、かっこよすぎてドキドキしちゃうというか…」
今までも、向葵くんの距離にドキドキしたことはあったけど、それはかっこいいからとかそういう理由だった。
けれど、前と今は違う感情が混ざっていて。
向葵くんを「好き」になったから……
「私ね、向葵くんのことが好きすぎてそばにいると勝手にドキドキしちゃうの…。」
言い終えて恥ずかしくなった私は、重なる視線を、フィッと逸らした。