イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


──えっ…?

向葵くんの落ち込みよう?


「ちょっと康太。それ言わない約束だったよね!」


立ち上がり佐野くんに詰め寄る向葵くん。

その表情は、顔を真っ赤に染めているようで。

……向葵くん?


「あー、悪い。今のはマジで口が滑った」

「マジで頼むよ……。」


ガクッと項垂れているように見える向葵くんと、それを見て苦笑いをしながら「悪い悪い」と謝る佐野くん。

……えーっと、つまり………?


「康太ー……。」

「じ、じゃあ、もう俺行くから!」


慌てる様子の佐野くんに「あっ、待てよ!」と声をかける向葵くん。

だが、その静止も聞かず、佐野くんは足音を立てながら廊下を走って行った。

一気に静まり返る教室。

私は、二人のやりとりに圧巻されてほとんど何も話せなかった。

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