イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
「あいつ約束を忘れるとか…」
呟きながら頭をかく向葵くん。
「ハアー」とため息をついたあと、また、私の隣の席に座り直す。
……なんとなく元気ない?
そう思って声をかけようとした──
「ねぇ、結衣ちゃん。俺、さっき康太が言ってたことが気になったんだけど。」
私より先に向葵くんが話したことで、のどまで出かかった言葉を飲み込んだ私。
……佐野くんの言ってたこと?
「放課後二人で話したことあるの?」
「えっ、あ……それは……」
向葵くんと歩美ちゃんが二人でいるところを目撃して、それを勘違いしていたなんて言えない。
「康太と二人きりで?」
「………はい。」
小さな声で呟いた私。