イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
その日の放課後。
校舎裏へ向かうと、私よりも先に来ていた向葵くんは、ベンチに座って心地良さそうに目を閉じていた。
「……あ、向葵くん…?」
いまだに慣れない名前呼びに緊張しながら声をかけるけど、向葵くんからの返事はない。
もしかして寝てる…?
そう思って、恐る恐る近づいてみると『スー…、スー…』とリズム正しい寝息が微かに聞こえた。
…うん。これは確実に寝てる。
「……どうしよう。」
起こさない方がいいのかな。
それとも起こすべき?
……ここは奈央ちゃんに聞いてみよう!
そう思って、かばんの中にあるスマホを取り出そうとチャックに手をかける──が、そこでピタリと止める。