イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
どれくらいだったかな…
私がここへ来たのがオレンジ色の夕陽がまだこのあたりを照らしていたときで…
ほんの少しだけ頭を引っ込めた太陽が、遠くに見えるから。
「……十五分くらい、です」
体感的には、その倍くらいの感じがしたんだけどね。
「あー…じゃあ、結構寝てたんだね。俺のこと、起こしてくれてよかったのに」
「そう、なんですけど…」
さっきの向葵くん。
心地良さそうに目を閉じていたから、無理に起こすのも可哀想かなって思っちゃったんだよね。
…それに、緊張しちゃって声が出なかったってのもあるんだけどね。
口ごもる私を見て「肩、重かったでしょ。ごめんね?」と言って、申し訳なさそうに眉を下げた。