こんな溺愛、きいてない!
「凛花がここに引っ越してきてからは、
その手の書き込みも
見なくなってたんだけど、

ここ数日、この辺りで
『奇跡の美少女』を見かけたって
書き込みがあって、

それで、危ないと思って、
朝のジョギングをやめさせようとした」


そう言って、
机のうえに遥先輩が置いた一枚の写真に
息が止まる。


「ホントはこのこと、
凛花には言いたくなかったんだよ。

お前を無闇に怖がらせたくなかったから。

でも、この写真が今朝アップされてて、
もう黙ってられないと思った。

これは、最初に、
一緒に走った日の写真だと、思う」


遥先輩の視線の先にある写真。


遥先輩に抱えられて、
顔は映っていないけれど、

間違えなくこの写真は、私だ……


「あの日、
遠くでフラッシュが光った気がして、
凛花を抱え込んだ。

でも特に写真も出回ってなかったから
気のせいかと思ってた。

でも、
今朝、この写真がアップされた。

ギリギリのところで、
凛花の顔は映らなかったけど、

もう、黙ってられないと思って
ここに来た。

でも、ちゃんと説明もせずに
朝のジョギングを
一方的にやめさせようとたのは、
俺が、悪かった」


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