こんな溺愛、きいてない!
「あのさ、生徒会で
メッセージグループ作ってるんだけど
連絡先、聞いてもいい?

今、生徒会のやつら
話し合いで忙しそうだから」


先生の言葉に、
スマホをカバンから取り出した。


連絡先を交換すると、
高山先生が爽やかな笑顔を見せる。


「白石って、
2年の神楽坂とよく一緒にいるよな」


やっぱり遥先輩と一緒にいると、
先生たちから見ても目立つのかな……


私の地味で静かな学校生活は、
根こそぎ遥先輩に刈り取られてるような。


「仲いいんだね?」


「あ、えっと、はい」


なんて、答えればいいのやら。


「彼氏が人気者だと、彼女は大変だね」


穏やかに笑う先生に、

「彼氏ではないので!」

と、不自然なほどに
強く否定してしまって、

驚く先生に、
あわあわと慌てて取り繕った。


「えっと、……ごめんな、訳アリ?」


「あ、いえ、そういうわけでは」


しどろもどろ答えると。


「俺でよかったら相談、乗るから
困ったときには声、かけて。

よく生徒会の奴らの相談にのってるしさ」


「ありがとうございます、
でも、大丈夫です」


笑顔で頭を下げると、
先生に背中を向けて

スタスタと下駄箱に向かった。


訳アリ……っていうよりも、

チア部の綺麗な先輩たちに
デレデレしている遥先輩に

ちょっとだけ、
モヤっとしているだけだから。


そして、そんなことを気にしてる自分に
腹が立ってるだけだから!


さすがに、こんなこと、
先生に言えないし。
< 165 / 288 >

この作品をシェア

pagetop