こんな溺愛、きいてない!
「待てよ、凛花」


なんだか恥ずかしくなって、
遥先輩から逃げるように
全速力で走ったものの

軽々と追いかけてくる遥先輩に、
あっという間に追いつかれた。


隣では遥先輩が
余裕の笑みを浮かべている。


「はぁ、はぁ、遥先輩、
足、速いんだね」


「へぇ、見直した? 
ついでに俺に惚れちゃった?」


綺麗な瞳を
無邪気に輝かせている遥先輩に、

冷たーい視線を投げつける。


「見直さないし、惚れませんっ」


「でも、凛花はきっと俺のこと、
好きになるよ」


自信に満ち溢れた表情で

朝陽に負けずに
キラキラと
笑顔を輝かせる遥先輩に、

へんな魔法をかけられてしまいそうで

遥先輩から
慌てて顔をそらした。
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