こんな溺愛、きいてない!
なにを話しているのかは
分からないけれど

キャアキャアと
楽しそうな声が校庭に響き渡る。


すると、ひとりの女の先輩が
遥先輩になにやら話しかけながら、
遥先輩の肩に触れている。

そっと遥先輩の腕をつかみ、
遥先輩の背中に手をそえる。


遥先輩が露骨に距離をとっても、
執拗に遥先輩に触れている。


「うわ、なにあれっ」


「普通、あそこまでする?」


「遥先輩狙いなのがみえみえ。
やりすぎ!」


「学校指定のジャージなのに、

あんな胸の谷間みせるような
着方していいわけ?」


亜由と奈央の会話を聞きながら、
遥先輩のいる校庭から

視線を背ける。


「どうしたの、凛花?」


「ううん、なんでもない」


と、答えたものの、
なんだかよくわからないけど
モヤっとする。


モヤっとするのに、

ちらりと校庭に視線を動かしては、
また、パッと目をそらす。


……ん?


私、なにしてるんだろう?

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