近くて遠い私たちは。
4.私の恋心
母が一度お風呂掃除のためにキッチンから離れた。
私はその隙を見計らい、ゴミ箱の中から捨てられたばかりの箱を取り出した。中のシュークリームは個別包装のまま、別段、変形もせずにそのままの形を保っていた。二つのそれを冷蔵庫の奥に隠して仕舞う。
サクは出会った時からこのシュークリームが大好きだった。何故決まってコレなのかは、突っ込んで聞いた事が無いから分からないけれど、恐らくは何らかの思い入れがあるのだろう。
一度ゴミ箱から出した箱を、また元の通りに捨てた。程なくして母が戻って来る。私は再度ソファーに座った。
一週間ぶりに会ったサクの事を考えていた。
子供の頃は、私より確かに大きかったけれど、あまり背も変わらず、細く、ひょろこかった。好きな事に瞳をキラキラと輝かせ、アーモンド型に目を細めて笑うのが可愛かった。
それが中学に入ってからはニョキニョキと背が伸びて、顔付きも何処となく男らしくなった。
ボコと喉仏が出て、落ち着いた音程に声変わりもした。
出会った頃からおよそ十三年の時が流れて、今のサクは二十三歳だ。既に学生という区分を抜け出し、大人になっている。
割と端正でシャープな顔立ちをしていて、細いフェイスラインと切れ長の目元が女性にウケているだろう。
チラリと横目を向けられると、何処か深層を見透かされているような気がして、ドキッとしてしまう。
伊達眼鏡や髭も問題なしに似合う。そういう顔付きだ。
母が一度お風呂掃除のためにキッチンから離れた。
私はその隙を見計らい、ゴミ箱の中から捨てられたばかりの箱を取り出した。中のシュークリームは個別包装のまま、別段、変形もせずにそのままの形を保っていた。二つのそれを冷蔵庫の奥に隠して仕舞う。
サクは出会った時からこのシュークリームが大好きだった。何故決まってコレなのかは、突っ込んで聞いた事が無いから分からないけれど、恐らくは何らかの思い入れがあるのだろう。
一度ゴミ箱から出した箱を、また元の通りに捨てた。程なくして母が戻って来る。私は再度ソファーに座った。
一週間ぶりに会ったサクの事を考えていた。
子供の頃は、私より確かに大きかったけれど、あまり背も変わらず、細く、ひょろこかった。好きな事に瞳をキラキラと輝かせ、アーモンド型に目を細めて笑うのが可愛かった。
それが中学に入ってからはニョキニョキと背が伸びて、顔付きも何処となく男らしくなった。
ボコと喉仏が出て、落ち着いた音程に声変わりもした。
出会った頃からおよそ十三年の時が流れて、今のサクは二十三歳だ。既に学生という区分を抜け出し、大人になっている。
割と端正でシャープな顔立ちをしていて、細いフェイスラインと切れ長の目元が女性にウケているだろう。
チラリと横目を向けられると、何処か深層を見透かされているような気がして、ドキッとしてしまう。
伊達眼鏡や髭も問題なしに似合う。そういう顔付きだ。