女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
 
「そんなに私と一緒に寝るのが、嫌なんですか」

 夕飯が食べれないと言っただけなのだが、遥の中ではそう解釈したらしい。
 わかりやすく説明するのが面倒で、適当に言葉を垂れ流す。

「ああ。嫌だね」

「どうして」

 ショックを受けたような声に、なににショックを受けるっていうんだよ、と文句を言いたくなる。

「狭いだろ」

「ちゃんと隅で、小さくなって寝ますから」

「アホか。寝相までは、制御できないだろ」

 晶は遥から体を離し、テーブルに置かれた2つのマグカップを手にすると、シンクへ片付けた。

「ごめんなさい。寝相いいって、おばあちゃんにいつも言われてたから。蹴ったりしていたんでしょうか」

 見当違いの謝りの台詞に便乗して、晶は憎まれ口をたたく。

「ああ、そうだな。生命の危機に立たされるくらいにな」

 本当は、動くと言っても小さく丸まる程度で、あとはそれがすり寄ってくるのが耐えられないだけで。

「アキは、もう寝るんですか」

 ここ数日、捨てられた犬みたいな遥の表情に良心が痛む。
 
「ああ、明日も早い。ハル、お前も仕事だろ」

「はい」
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