女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 法律事務所には電話で予約して相談に来る人もいれば、ふらりと立ち寄って法律相談をする人もいる。

 ふらりと立ち寄るような人ほど思い詰めている上に、話もとっ散らかっていて対応が面倒だ。

 それが女なら殊更。

 そういう依頼者には、直樹が率先して対応していた。
 今もやっと帰っていく後ろ姿に笑顔を向け終わり、げっそりとした顔でデスクに戻った。

「悪いな。いつも」

 コーヒーを直樹の前に出すと、幽霊でも現れたような顔を向けられた。

「明日は槍でも降るのか」

「んだよ。人が」

 不貞腐れて自分のデスクで、自分もコーヒーを啜る。

 もちろん全ての女を避けて、仕事ができるほど甘くない。
 晶も仕事と割り切って、少なからず女性からの依頼の仕事も引き受けてはいる。

 それにしたって、迷惑をかけている自覚くらいある。

「やっぱり変わったよなあ。アキ。表情が柔らかくなった」

 そんなわけあるか。
 今もあんなチビに、手を焼いているというのに。

 晶が心の中でぼやいていると、直樹は改まって口を開いた。
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