女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「前に、遥ちゃんの件で、同じような案件を担当した経験があるって話したよな」

「ああ」

 遥は親が放任で、その間に近所のお兄ちゃんにイタズラされたトラウマから、男性恐怖症になった。
 後にイタズラは未遂だったと判明したが、だからと言って、心の傷には変わりない。

 遥の症状を知るための書籍を選んでいた時に、直樹にお勧めを渡され、似た案件を弁護したという話も聞いた。

 晶にしてみれば、それらの本を読み、晶自身の生きづらさの理由を目の当たりにした、苦い記憶でもあった。

「いや、やっぱりなんでもない。アキと遥ちゃんなら、心配には及ばないよな」

「なんだよ。そこまで話して、話せよ」

 言葉を濁らせた直樹に続きを促すと、直樹は思いもよらない事実を口にした。

「俺が担当したのは、売春する少女が起こした事件の弁護」

「は?」
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