女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
気怠げに椅子にもたれていた晶は、体を起こし、直樹を見据えた。
「なんだ。見つめるなよ。照れるだろ」
「馬鹿。悪い冗談はやめてくれ」
売春なんて、俺やハルから一番遠いところにある話題のはずだ。
「その子も、親からの愛情不足で育った。金欲しさもあったとは思うが、根本は違ったようだ。不安になると過呼吸になって、寂しさから男を求めた」
晶は絶句するしかなかった。
「俺やハルには関係ない」とは言い切れない内容。
過呼吸に、寂しさ。
皮肉にも、遥に当てはまるのだ。
更に続けた直樹の言葉が、ますます晶の胸を抉った。
「虚しいとわかってはいても、ぬくもりに抗えないようだった。その場限りでも、偽りの愛情でもな」
「ま、アキたちは、そこが違うよな」
そう続けられた言葉を、上手く飲み込めなかった。