女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
遥の晶への気持ちを聞いた時、歯止めが効かなくなった。
キスをして、それから遥の肌に触れた。
手に触れた滑らかな感触に、自分を見失いそうになった。
気がつくと腕の中で、遥はカタカタと震えていた。
あの時の不安そうな、晶に怯えているような顔はもう見たくなかった。
それなのに、遥は晶と寝たいと訴える。
なにもわかっていない純粋が故かと、思っていたけれど。
「アキも気を付けろよ。年行ってからハマると、痛い目に遭うからな」
「なににだよ」
「女に」
ヒュッと息を吸い込んで、目を見開いた。
なにかが、崩れていく音を聞いた。
「悪い。余計な心配が過ぎたな。顔色が死んだような色してるぞ。アキ、今日の仕事は平気か?」
「ああ」
それだけ言うと直樹から視線を逸らし、仕事の資料を手にした。
そしてなにも考えないように、仕事に没頭した。