女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「悪かった。頼むから。弱ってて、ハルに傍にいてほしい」

「ど、どうしたんですか。素直なアキは気持ち悪いです」

 どいつも、こいつも。
 俺は悪態をついてなきゃ、俺じゃないのか。

 自身の髪に手を差し入れて頭を抱えると、ふわりと細い腕が体に回された。
 顔を上げ、自らも腕を回してその小さな体をソファに乗せた。

 一人掛けソファに二人。
 抱きつくように体を寄せる遥に、疼く胸が今は心底嫌になった。

 柔らかなぬくもりが頬に触れ、ハッとする。

「青い顔しています」

「ああ。かなりやられてる自覚はある」

 遠慮がちに頬に触れる指先が、もどかしいのに、突き飛ばしたい相反する気持ちにごちゃ混ぜになる。
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