女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「俺が相当な女嫌いって、ハルは知ってるよな」

「ええ、それは、はい」

 こんな話、素面でこいつにするのか。

 しなきゃいけない義理はない。
 ただ、しなければ自分が立ち往生しそうな危機感くらいはあった。

 話しやすくするためにアルコールを入れたら、もっと事態がまずい方向に向かうのも、経験から知っている。

 ここは、腹を決めて話すしかなかった。

「俺、女が嫌で男子校で」

「はい。それも前に」

「ああ。それで、女との距離はできてもな。男ばかりの環境も、なかなかで」

「はあ。私からしたら、恐怖でしかありません」

 遥は男性恐怖症なのだから、男ばかりの環境は地獄なのは当たり前だろう。
 晶としては、安寧の地のつもりだったが。

「男ばかりだと、話す話題としての下ネタも際どいものが多い。その辺は無視しておけばいいんだが」

 息をつくとゴクリと喉が鳴って、どれだけ気弱になっているのだと自嘲する。

 遥は怪談話でも聞き、おどろおどろしい続きを待つように、ギュッと晶の体にしがみついた。
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