女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
「映画を見ようって、連れの家に遊びに行って、ノリで見せられたのが、その、なんだ、男女の絡みがエグイやつで」
その手の映像を見たのは、それが初めてだった。
他のやつらは盛り上がっていたが、俺は顔面蒼白になり、吐き気がして、実際に吐いた。
「余計に女嫌いに拍車がかかってな」
記憶の奥底に、しまいこんでいた黒歴史。
それがここにきて、ひょっこり顔を出すとは思わなかった。
しかも自分に、牙を向けるような形で。
「それは、その、だからアキも女の人と大人の関係にはなれないって、そういう」
「ああ、そうだ。そのはずだった」
沈黙が降りて、長い沈黙にため息を吐く。
「悪い。俺の中でまだ整理できていない内容を、話すべきじゃなかった」
遥をソファから下ろそうとしたが、遥はグッと回していた腕に力を込めた。