女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 遥の勤め先は男性恐怖症がよくなりつつあった頃に、陽菜の紹介で入った会社。
 梅元フーズは、コンビニの惣菜を主に作っている会社で、仕事はライン作業だ。

 衛生面から、仕事中は白衣に帽子、マスクに手袋の着用が必須。
 誰が誰だか、わからないような職場。

 加えて、周りはパートのおばちゃんばかり。
 社会復帰の手始めには丁度いいだろうと、勤め始めたのだ。

「そういえばリーダーがパートの方から、社員の方に変わりました」

「そいつ男か」

「はい。でも社員さんとは、接点がありませんし」

 男が少ない職場。
 そういう話のはずだ。

 しかも、遥の体質は承知の上で、勤めさせてもらえていると聞いた。

 なんだか、引っかかる。

「明日は送り迎えする。何時始まりの、何時終わりだ」

「え、でも、アキより遅くて、アキより早く終わります」

「いい。途中で抜けてくるから」

 なにか考えている晶に、遥は質問する。
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