女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「今日も、一緒に寝るんですよね」

「なんだ。嫌なら、湯たんぽ買ってやるぞ」

「いえ。そういうわけじゃ」

 片眉を上げ、試すような口ぶりで晶は言った。

「手を出される覚悟は、あるんだよな?」

「それは」

 晶はフッと息を漏らし、遥の鼻をかじった。

「ひゃっ」

 慌てて鼻を押さえる遥を視界に収め、温情をかけてやる。

「また、眠れなかったって、言われちゃ堪らないからな。平日は、キス以上しないって約束しようか」

 あからさまに安堵する遥に、晶は意味深に呟いた。

「ま、キスも色々あるみたいだし」

「え」

 不穏な空気を感じ、晶から離れようと試みても遅かった。

 唇は重ねられ、ゆっくりと遥の唇を喰んだ。

 喰んでは重さねる唇は、程なくしてくちゅりとした感触に変わり、背すじに甘い痺れを走らせる。

 身動いでも、晶の腕の中からは抜け出せない。
 それどころか、唇の隙間から遥の口内に押し入り、舌を絡ませた。

 突然の濃厚なステップアップの襲来に、遥は晶の胸をたたいた。

「まっ、やっ」 

 離された唇は艶めいて、互いに浅い呼吸をし合う。
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