女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
遥の勤務は、9時から3時まで。
少し遠いが歩いて行ける距離のため、遥は毎日徒歩で通っている。
最寄りのコンビニで待ち合わせをし、遥の仕事場へ向かった。
外で待ち合わせるのは、初めてだ。
どことなく気恥ずかしいのを見せないように、遥の近くまで歩み寄る。
「アキは、ビルの前までしか行けませんよ? 本当に、それでもいいんですか?」
「中まで入れるのなら入りたいが、それは仕方ないだろ」
話しながら歩いていると、後ろから歩いてきた人物に声をかけられた。
「遥ちゃん。おはよ」
「おは、ようございます」
声をかけてきた人物は、50代くらいの女性。
遥と晶を見比べてから、口を開いた。
「これはまあ、べっぴんさんだこと」
ぺっぴんさんは、女を褒める時に使うべきだろ。
悪気のない褒め言葉に、引きつりそうな頬を正し、にこやかに挨拶をした。
「遥が、いつもお世話になっております。高崎晶といいます。保護者代わりに、一緒に暮らしています」